第四話 夏とクラゲとキツネ娘
 
 青い空。白い雲。照りつける太陽。
 現在、篠田 洋平(しのだ ようへい)の通う大学は夏休み中である。
 彼は、同居人のキツネ娘、沙羅(さら)にせがまれて、大久羅下ヶ浜(おおくらげがはま)という、イヤな名前の海水浴場へ遊びに来ていた。
 理由はわからないが、沙羅がどうしてもココに来たい、と言うので、仕方なく付き合うことになったのだ。
 洋平としては、もっとメジャーな海水浴場でナンパなどしたかったのだが、沙羅の主張に押し切られた形だ。
 浜辺に行ってみると、案の定、若い女性どころか、まともな人影すら無い。海の水も、どことなくよどんでいて汚い感じがする。洋平は、やれやれ、とため息を吐いた。
「何であの娘は、こんなトコへ来たがったのかね・・・」
 真夏の太陽が照りつける砂浜で空を見上げながら、洋平はふと、『一抹の不安』というものに駆られた。
       *
 一方。
 洋平の居る海水浴場から少し離れた場所にある、絶壁に挟まれた細い入り江。そこに、巨大な洞窟があった。
「くふふ・・・洋平め。まんまと騙されたな」
 その洞窟の中で、沙羅が、シッポを機嫌良さげに振りながら、小さくつぶやいた。
 彼女の目の前には、古い、小さなほこらが建っている。
「くふふふふ・・・・」
 妖狐の少女は、邪悪な笑みを浮かべる。そう。彼女は、このほこらを目当てに、ここまでやって来たのだった。
       *
「妖怪オオクラゲのほこら?」
 洋平は、そう聞き返した。浜茶屋で焼きイカを食べながら、茶屋の店主からこの地方に伝わる昔話を聞いている最中である。
 店主の老人は真面目な表情でうなづいた。
「うむ。この浜には、むかしオオクラゲという、その名の通り大きなクラゲの姿をした妖怪が棲んでおってな。漁師たちを襲い、海を荒らし、大暴れして人々の生活を脅かしていたのじゃ。浜の者は、皆この妖怪を怖れ、若い女をイケニエに捧げて、つかの間の平和を手に入れていたそうじゃ」
「・・・・・・」
 洋平は、無言で聞き入った。浜茶屋の主人は、話を続ける。
「そんなある日、一人のえらい坊さんが現れてな、この浜の惨状に心を痛め、妖怪退治に乗り出したのじゃ。坊さんはオオクラゲにクジラから採った油を浴びせると、火を点けて蒸し焼きにし、これを打ち倒したそうじゃ。体中の水分を抜かれてカラカラに干からびたオオクラゲは、洞窟の中のほこらに入れられ、二度とよみがえらぬよう厳重に封じ込められたという話じゃ」
「うーむ・・・」
 洋平は、低くうなり声を上げた。なぜか、非常にイヤな予感がする。彼は眉根を押し揉みながら、浜茶屋の主人に声を掛けた。
「すんません。その、ほこらがある洞窟の場所を教えてくれませんか? それに・・・・・・・・・持ち運びできる大きさの、プロパンガスのタンクってありますかね」
       *
 その頃。
 沙羅は、洋平の予想通り、妖怪オオクラゲをよみがえらせようとしている真っ最中だった。
 大久羅下ヶ浜に巨大な低級妖怪が封印された、というのは、妖怪の間では有名な話だ。以前から、その巨大妖怪を自分の下僕にしたいと思っていた沙羅は、洋平に『海水浴へ行きたい』などと言って、この浜へ連れてきてもらったのだ。
「ふん、ふん、ふふん♪」
 赤いビキニの上から白いパーカーを羽織ったラフな格好で、沙羅は、鼻歌まじりに、ほこらの扉へ貼り付けられた札を剥がし、中からクラゲの干物を取り出した。
 次いで干物に貼り付けてある札も剥がし、念のため他に封印がないかを再確認する。
 そして、一抱えもあるその干物を持って洞窟を出ると、波打ち際へ、ざぶん、と無造作に投げ入れた。
 数分後。
 ボコボコボコッ、という音と共に、体高五メートルはあろうかという巨大なクラゲの怪物が、水柱を上げて出現した。
 沙羅は、会心の笑みを浮かべる。
「うむっ、よくぞ現れた、オオクラゲよ! 我が名は沙羅! お主を封印から解き放った大妖狐だ。さあ、今よりわらわの下僕となって、世界征服の尖兵と・・・・なる・・・・が・・・・良・・・い・・・?」
 声が、段々小さくなっていく。オオクラゲが、獲物に襲いかかるような仕草で、ゆっくりとその触手を沙羅へ伸ばしてきたからだ。
 沙羅は、ここへ来てようやく、自分がオオクラゲを操る方法を全く考えていなかったコトに気づいた。顔から血の気が引いていく。
「と、とりあえず、撤退ぃぃいいいーーーっ!」
 沙羅は、一声叫ぶと、洞窟へ向けて無計画に走り出す。オオクラゲは陸へ上がり、触手を器用に動かして沙羅を追いかけ始めた。
       *
 数分後、自称大妖狐の少女は、洞窟の奥に追い詰められ、クラゲの化け物にあっさりと捕らえられていた。
 無数の触手に手足を縛られ、身体を宙吊りにされた、情けない姿だ。
 それでも沙羅は、オオクラゲへ向けて高飛車に怒鳴りつけた。
「ええいっ! 放さぬか下郎! たかがクラゲごときが、わらわに触れるなど・・・・・ひぁっ?」
 わめき散らす言葉が、途中で驚愕の声に変わった。先端に鋭い爪の付いた触手が、ビキニのブラを引き裂き始めたのだ。少しずつ、なぶるように水着が剥ぎ取られていく。
「な、ななななっ・・・・?」



 沙羅は、再び怒鳴り声を上げた。
「こ、このスケベクラゲがッ! ええい、やめろっ、やめぬか! き、貴様ぁッ! それ以上、不埒な真似をすれば、ど、どうなるか、わかっているのだろうな!」
 オオクラゲは、何もわかっていない様子だった。暴れる美少女の肢体に絡みつき、妖獣の触手はさらなる陵辱を開始する。
 水着が破れ、あらわになったピンク色の先端を、イボの付いた触手がこすり立て始める。感度の良すぎる突起を巧みに愛撫され、少女の背筋に甘美な衝撃が走った。
「ひゃくぅううッ!」
 思わず艶めいた悲鳴を上げてしまったことに気づき、沙羅は慌てて唇を噛みしめる。
 動物並みの知性しか持たない低級妖怪に感じさせられるなど、彼女のプライドが許さなかった。沙羅は妖狐としての矜持を胸に、徹底抗戦の意志を固める。
 しかし触手の責めは執拗で、しかも繊細だった。乳輪の周囲を、触手が、サワサワッとくすぐる。円を描く、柔らかい羽毛のようなタッチに、鋭敏な乳輪は少しずつ隆起しようとしている。
 そして最も感度の高い、少女の急所。乳首の先端は、強く触って欲しがっているかのように、痛いほど張りつめ、尖り始めていた。
「あ・・・あぁ・・・ああ・・・・っ」
 沙羅は、口元から透明な滴をしたたらせながら、かろうじて乳首を襲う壮烈なうずきに耐えている様子だった。
 一方、触手の動きはますます滑らかになり、巧妙さを増していく。それは螺旋のように脇の下を掻き回し、あるいは背筋をなぞるように撫で、そして脇腹をくすぐるように愛撫する。
 少女の身体は全ての責めに反応し、刺激を受けるたびに、背筋が弓のように仰け反った。一杯に見開いた瞳からは、止めどなく涙があふれる。
「ふわぁあ・・・・・ま、負けない、負けなひんだからぁあ・・・っ」
 それでも妖狐の少女は、精一杯の理性をかき集め、抵抗を続ける。だが、耐えるべきは、単純な快美感だけではなかった。
「うぁあ・・・ひぅあぁあっ・・・・・」
 最もうずいている乳首に、触手が触れようとしないのだ。
「んぁあ・・・・っ! ふっ、ひぅう・・・・・ッ」
 沙羅は、気が狂うほどにじらされ、もてあそばれた。我知らず、股間から愛液がしたたり落ちていく。
「あぁっ・・・ず、ズルいっ、ズルひいぃいいい・・・・っ」
 沙羅は、歯を食いしばり、憎悪にも似た想いで嗚咽の声を漏らす。きつく閉じた瞳から、涙がポロポロとこぼれた。
「はぁ・・・・・はぁ・・・ひぁっ・・・・・・はぅうぅぅ・・・・・・!」
 息を荒く吐き、舌を突き出し、口元から唾液を滴らせる。少女の理性は、限界を迎えようとしていた。
「あ・・・・ああ・・・・」
 切ない吐息が漏れ、彼女はついに、振り絞るような叫びを上げる。
「何でぇえええッ? 何でさわってくれなひのぉおおおおおおおおっ?」
 張りつめ切った理性の糸は切れ、とうとうクラゲの化け物に屈服した。
「お願いッ、おねがひぃいいいいい! 乳首ッ、ちくび触ってェぇええええええええッ! 乳首ッ、ちくびヒィぃいいいいいいい!」
 あられもない悲鳴まじりの哀訴を聞き届けたかのように、爪の付いた触手が、少女の最も待ち望んでいた急所を、強く、鋭く突いた。
 じらされ抜いた末に与えられた乳首への刺激に、沙羅は甘美な嬌声を高々と歌い上げる。
「んっきゃあぁぁああああああああぁぁああッ!」
 ビクビクビクッ!
 背が反り返り、太股から爪先までが一気に硬直する。一瞬で頂点へ跳ね上げられた少女へ、しかし、なおも執拗な責めが襲いかかる。
 糸のように細い触手が乳首の根元へ巻き付き、繊毛で覆われた触手は乳首の先端をこする。さらに何本もの触手が、まるで人間の手のように寄り集まり、少女の過敏な突起を、つまみ、撫で、しごき立てる。
 すさまじい恍惚感に、沙羅は白目を剥き、絶叫を上げ続けることしかできなかった。
「そこダメッ、もうダメぇぇええッ! 先ッちょばっかりッ、先ッちょばっかりイジめないでェぇええええええええええッ!」
 ビクビクビクビク、ビクンッ!
 妖狐の美少女は、乳首を触手に弄られながら、均整の取れた肢体を跳ね上げ、意識が飛びかねないほどの喜悦に撃たれて、絶頂へ達した。
 だが、この絶頂は、これから始まる饗宴の、序章にしか過ぎなかったのである。
       *
「うやぁあああっ! ダメぇえええええッ! それスゴいのッ、スゴすぎるのォぉおおおおおおおおおおッ!」
 沙羅は、触手から送り込まれる法悦に、あられもなく乱れ狂っていた。
 先刻まで背筋や首筋、脇腹、脇の下など上半身の性感帯を主に攻撃していた触手たちは、乳首への責めをそのままに、今度は、下半身を重点的に責め立て始めたのだ。
 繊毛の生えた筆状の触手は、足の裏をくすぐり始める。土踏まずを撫で回しつつ、足の指の一本一本を、偏執的にこすり上げる。
 沙羅は、くすぐったさと快感が入り混じった複雑な感覚に耐えきれず、体中をケイレンさせて身悶え続けた。
「んヒャあぁぁあああッ! 足の裏ダメ、らメぇッ! くすぐったいのォ! くすぐったひからぁあああッ!」
 既にろれつは回らなくなっており、幼児のような言葉遣いで愉悦を訴え続けることしかできない。もはや、少女に妖狐としての誇りは残されてはいなかった。
 奈落へ突き堕とされつつある美少女に、しかし苛烈な責めは容赦なく続けられる。
 無数の触手は、太股の内側をなぞり、ヒザの裏を撫で、ふくらはぎを揉み抜く。下半身に隠された性感帯を次々と掘り起こされ、沙羅は身も世もなくよがり狂った。
「ふわぁあっ・・・・何で・・・っ! 何でぇえ・・・っ? こんなに・・・感じるっ・・なんてぇぇええええっ!」
 困惑する暇すら与えず、触手たちが、沙羅のしなやかな美脚を一際大きく割り広げた。扇情的な開脚姿勢を無理矢理にとらされた少女は、最悪の事態が発生する予感に身を震わせる。
「あ・・・ああ・・・や、やめ・・・そ、それは・・・・それだけはぁぁ・・・・!」
 しかし懇願する少女の願いは聞き入れられず、無情な鉄槌は振り下ろされた。
 イボの付いた触手が、水着のショーツを引き裂き、少女の濡れそぼった蜜壷へ、その異形を容赦なく突き入れたのだ。
 ズブズブズプッ!
 肉壁がイボにこすり上げられる快感が、膣内から全身へ走り抜ける。最初の一擦りで、少女の視界は白熱する閃光に包まれた。
「ヒッきゃぁあああああああッ!」
 ビクビクビクッ!
 おとがいが跳ね上がり、爪先がたわむ。強烈な快美感に思考が一瞬停止するが、気絶すら許されない悦楽が次々と送り込まれてきて、あられもない嬌声を放ってしまう。
「うやぁっ、うやぁあぁあああッ! すごっ、スゴいよぉッ! なにコレッ? なにコレぇええええええっ?」
 触手が秘貝を貫き、抽挿を繰り返すたびに、愛液があふれ、輝く水滴が飛び散る。
 少女は随喜の涙を流しながら、快楽を訴え続けた。
「気持ちいいっ、気持ちいいの! イボがぁ、イボイボが、ゴリゴリって、ゴリゴリってェぇええッ! アソコがぁ・・・きゅうぅううううんッ! スゴいぃいいのぉおおおおおおおおおおッ!」
 狂乱し続ける沙羅。その秘貝はすでに開ききっており、その隅に小さく息づく肉珠は、ヒクヒクと震え、さらなる刺激を待ち望んでいるかのように見える。
 そしてオオクラゲは、少女の想いに応えるかのように、秘芯へと魔手を伸ばす。
 細い触手たちが器用にうごめき、尖りきった肉芽を鞘から剥き出す。そして、繊毛の生えた筆状の触手が、顔を出した敏感な真珠へ、その筆先を撫で下ろした。
 刹那。
「ヒッキャアァぁあああああああああッ!」
 甲高い絶叫が少女の喉から上がる。最も感じやすい肉の突起を、人外の技巧で撫で回されては、一刹那すら耐えられるはずもなかった。脳髄が沸騰し、視界が白く染まる。
 しかし筆の形をした触手は、少女の窮状など頓着せず、何度も何度も繰り返し秘芯をこすり立て、撫で上げ、撫で下ろし続ける。
 間断なく送り込まれる喜悦の衝撃に、沙羅は白目を剥き、口の端から唾液を垂れ流す。
「くヒィィぃいいッ・・・・・はヒャアぁああッ・・・・こんなッ・・・こんなァぁああああ・・・・・ッ!」
 全身をケイレンさせ、意識を失いかける。もはや息も絶え絶えの少女に、今度は体の内側から、壮烈な快感がほとばしった。
「んっキャアぁああああああッ?」
 沙羅は、半ば失神しかけた状態から、無理矢理に覚醒させられる。蜜壷に挿入された触手が、膣壁で神経が最も集中した場所、Gスポットを、イボでこすり上げたのだ。
 触手の表面に付いた無数のイボは、回転し、ひねりを加えながら、絶妙の力加減で急所を責め立て続ける。妖狐の美少女は、体中から滝のような汗を流し、あえぎ、悶え狂った。
「ああッ・・・・何コレ・・・何コレぇッ? そ、そこぉっ、そこやめてェえええっ! そこ掻き回さなひでぇえええっ! それ弱いのッ、そこ、弱いからァぁあああああッ!」
 全身の肌があわ立ち、絶叫が喉から絞り出される。
 それでも沙羅は、快楽の無限回廊から解放されない。今度は、ツンと付きだした胸が狙われ、重点的な攻撃にさらされる。
「んゃあぁああああああッ! おっぱいダメッ! オッパイらめェぇええええええッ!」
 小柄で細身な体に比して、過分に豊かな双球を、無数の触手が揉みしだく。グニャグニャと形を変え、揺れ動く乳房から、苛烈なまでの喜悦が襲いかかってくる。
「あっヒィぃいいいいッ! 揉んじゃダメッ、モミモミしぢゃダメぇえええっ! 気持ちいいッ、気持ちいいのッ、気持ぢっ、よずぎぢゃうからァぁあああああッ!」
 まるで剥き出しにされた神経のかたまりを、直接、弄り回されているかのようなすさまじい悦楽。
 沙羅は激しく首を左右に振り、胸から全身に走る快感を拒否しようとした。
 このまま、この暴力的な官能の波にさらされ続ければ、発狂してしまうことは間違いなかった。少女は恐怖に背中を押され、必死の想いで快感から逃げ出そうとする。
 しかし。
「やめてっ、ホントに、もぉ、やめでぇええええッ! ・・・・はヒィッ? ヒャぅうううううううううううッ!?
 ビクビクビクッ!
 もはや何度目になるかもわからない絶頂感が、少女を襲う。
 蜜壷へ入り込んだ触手が、先端から電流を放射したのだ。性感神経を直接刺激する、未知の衝撃。
「ひゃッぐぅううんん! ダメダメダメぇえええッ! ヘンになっちゃうッ! 気がぁあッ、おかしくなっぢゃうぅううううッ!」
 焦点の定まらない瞳から随喜の涙がこぼれ、頬を伝う。だらしなく開いた口元からは、唾液を垂れ流し、悲鳴を上げ続けることしかできない。
「あがぁああっ! もお許してッ、許じでぇえええええッ! もぉ狂っちゃうぅっ! 狂っひゃうからぁぁぁあああああッ!」
 しかし膣内をゴリゴリと掻き回すイボ付きの触手は、容赦なく回転し、突き上げ、そして電流を流し続ける。全身が溶けるような愉悦に、沙羅はなおも哀願の声を放ち続ける。
「イボがぁっ、イボイボがぁああッ! すごいっ、スゴひのぉおおおお! お願いッ、お願ひですぅうう! やめてくださひッ! やべでぐだざいィィぃいいいい!」
 もはや、彼女に傲慢な妖狐の面影はなかった。ただ地獄のような快感から逃れるため、情けない悲鳴を上げ続けることしかできない。



「ふわぁっ、ふわぁああああああッ!」
 イボの付いた触手が、乳首を強く突つく。胸を揉む触手たちは、乳を搾るように胸を拘束する。残酷な激痛が一瞬、敏感な双球に走り抜けるが、すぐさま筆状の触手が優しく愛撫する。
 軽い痛みの後に来る甘やかな快美感。幾重にも織り込まれた複雑な責めに、少女は惑乱した。
「あーッ、あーッ、あーッ! 気持ちいいっ、ぎぼぢいいッ、乳首、すごい気持ぢいいのぉぉおおおっ!」
 恍惚の表情で天を仰ぐ彼女の乳首に、しかし、またしても電撃が流される。
「・・・・あっキャああぁぁああああああああああッ?」
 全身を触手の愛撫と電流で犯し尽くされ、沙羅の心は粉々に打ち砕かれようとしていた。
 触手たちは、少女を発狂死させようとするかのように、今まで電流を流さなかった場所、秘貝の頂点、最も敏感な肉真珠に、ゆっくりと触手の爪を伸ばし始めた。
 沙羅は、何が自分の身に起ころうとしているのかを察し、恐怖に駆られて叫んだ。
イヤぁあああああああああッ! ダメぇぇええええええええッ! それだけはッ、それだけはダメぇえええええッ! 死んじゃうッ、それぇッ、スゴすぎて死んじゃうからぁあああああああッ!」
 だが、本能のみで行動する低級妖怪に、言葉など通じるはずもなかった。
 触手の爪は敏感な肉芽にゆっくりと触れ、そして恐ろしい快感をもたらす電流を、少女の秘芯へ容赦なく送り込む。
 刹那。
「ひッぎイィぃいいいいいいッ!」
 ビクビクビクッ! ビクンッ!
 ブッシュウゥウウウウウッ!
 少女は白目を剥き、わずか一瞬で遙かな高みに達した。身体が弓のようにたわみ、尿と愛液が入り混じった液体が秘貝から盛大に吹き上げられる。
 だが、それで終わりではなかった。
 無数の触手たちは、なおも哀れな獲物を捕らえ、さらなる陵辱を開始したのだ。
 少女は、連続絶頂に突入した。
 乳房が揉まれ、乳首に電撃が走る。
「ひヤぁあああああああッ! 乳首ダメっ! 乳首ラメだってばぁああああっ! イッちゃうッ、イッちゃうぅぅうううッ!
 ビクビクビクッ!
 全身が仰け反る。
 足の裏が執拗にくすぐられ、太股、へそ、脇腹、隠された性感帯が強制的に目覚めさせられる。
「んっきゅうぅうううんんッ! 気持ちいいッ、きぼぢいいよぉぉおおおおおおッ! またイクッ、またイクのぉおおおおおっ!
 ビクビクビクッ、ビクンッ!
 絶頂を続ける淫靡な美身。
 さらなる電撃の魔手は、隠された少女の急所、菊孔へと向けられる。イボの付いた細めの触手が、肛門を穿つ。
「ほわぁあぁああああああっ? お尻ダメッ、おひりラメぇええええええええッ! イクイクイクッ、イックぅぅうううううううっ!
 ビクンッ! ビクビクビクゥッ!
 触手は直腸の中で暴れ回り、神経を激しく沸騰させる。
 沙羅は死の予感に身を震わせ、狂ったように泣き喚いた。
「ふやぁあああああああああッ! 死んじゃうッ、サラ、死んりゃうゥうぅぅぅううッ! 助けてッ! 誰か、られか、助けてェぇえええええッ! 助けて洋平ッ! 洋平ッ、洋平ィぃいいいいいいい!」
 沙羅は、ここにいないはずの洋平に向けて助けを求める。
「あ・・・ぁああ・・・・・ああ・・・・・」
 少女の精神と肉体は、もはや限界に達しようとしていた。

 最期の絶頂が迫り。

 そして身体の中で、快感が炸裂した。

「あっギャアぁああああぁぁぁぁあああああああぁぁぁああああッ! サラ、イッちゃうッ! イッぢゃうぅぅううううううううううううううううううッッ!!」

 ビクビクビクビクビクビクッッ! ビクンッ!

 ブッシュウゥウウウウウッ!
 
 落雷を受けたように全身をケイレンさせ、噴水のように潮を吹き、沙羅は最大の絶頂に打ち上げられた。心が闇に呑まれ、少女はゆっくりと気を失っていった。
       *
 その刹那。
       *
 ブンッ!
 空を切り裂く轟音と共に、突如、沙羅の手足を拘束していた触手が引きちぎられた。
 触手に吊り下げられていた少女の身体が、支えを失って落下する。しかし地面に激突する瞬間、それを抱きとめる腕があった。
「・・・・洋平・・・・・!」
 沙羅は、男の腕の中で、小さくつぶやく。
 そう。彼女を抱きとめたのは、篠田洋平だった。手には、クダギツネを操る竹筒を持っている。先刻、触手を切り裂いたのは、このクダギツネらしい。
 洋平は、沙羅に視線を向けると、小声で語りかけた。
「逃げるぞ、沙羅。しばらく息を止めていろ」
「・・・え?」
 沙羅は、疑問に思ったが、素直に息を止めた。洋平は、それを確認すると、沙羅を抱えたまま全速力で洞窟の出口へ向けて駆け出した。
 一方、オオクラゲは、何が起きたのか、良くわかっていない様子だった。
 が、しばらくして、ようやく獲物を奪われたことに気づいたらしい。電気クラゲの化け物は、怒りに身を震わせ、全身から電撃を放った。
 と、次の瞬間。
 ドゴォォォオオオオオオオッ!
 洞窟内で、轟音と共に大爆発が起こった。オオクラゲは灼熱の炎を浴びて吹き飛び、洋平と沙羅は間一髪で洞窟から脱出。爆発から逃れた。
       *
 しばらくの後、ようやく落ち着きを取り戻した沙羅は、洋平に尋ねた。
「よ、洋平。あ、あの爆発は一体・・・?」
「ただのガス爆発だ。あらかじめ、プロパンガスを洞窟内に充満させておいたからな。オオクラゲが放った電撃の火花に引火して、爆発したんだ」
「プロパンガス・・・。ああ・・・。それで息を止めていろと言ったのだな・・・」
 沙羅は、しきりに感心してうなづいた。それから洋平の顔を見やり、なぜか顔を真っ赤にしてうつむく。
「あ、あのだな、洋平。その・・・こ、今回のコトは、けっこう感謝してるというか・・・すごく、あの・・・お主が、か、カッコ良く見えたというか・・・・」
 しどろもどろになる沙羅に、洋平は笑顔を向けた。どことなく、怒りを含んだ凶悪な笑みだった。
 イヤな雰囲気を感じ取り、慌てて逃げようとする沙羅の肩をつかみ、洋平はことさら優しく語りかける。
「さて、沙羅くん? 今回、キミは、あのクラゲの化け物をよみがえらせて、性懲りもなく、一体、ココで何をしようとしていたのかな・・・・・?」
「は、はわわっ! ま、待て洋平。話し合おう。わ、わらわは別に・・・っ」
 沙羅は、顔を引き吊らせながら、慌てて言い訳を始める。
 無論、このあと彼女は洋平から恐ろしいお仕置きを食らうことになるワケだが・・・・・。
 それはまあ、別の物語である。
 
「キツネ日和 第四話 とりあえず・完」