第一話 キツネが家にやってきた
 
 一人暮らしの平凡な大学生、篠田 洋平(しのだ ようへい)が怪しげな露天商からその小さなキツネの置物を買ったのは単なる気まぐれからだった。しかし、それはある意味、確かに運命の選択だったといえるのかもしれない。
       *
 置物の大きさは、大体、手のひらに乗る程度。座ったキツネの姿をモチーフにした陶器製の彫像だった。
 洋平は、自宅のアパートに帰ると、とりあえず、靴箱の上へそれを置いた。いや、正確には、置こうとしたのだが、手をすべらせ、床に落として割ってしまった。
 パリン、と澄んだ音が響く。
「あらら・・・っ」
 洋平は、困ったように破片を見下ろしたが、次の瞬間、驚愕に目を見開いた。
 破片が、ポン、という爆発音と共に弾け飛び、立ちこめる白煙の中から、一人の少女が現れたのである。
「ふはははははっ! 三百年ぶりに封印が解けたわ!  人間よ! 畏れ戦くが良い! 我が名は沙羅(さら)! 史上最強の大妖狐にして、この世の支配者なり!」
「・・・・・・・・」
 手を腰に当てて仁王立ちし、大仰なことを言う小柄な少女を、洋平は途方に暮れた表情で見つめた。
 年の頃は、十八歳ほどだろうか。背が低いため、もう少し下にも見える。やや垂れ気味の大きな瞳に、整った鼻梁。輝くような金髪を背中まで伸ばし、左右に少しずつ房を分けて髪を結わえている。
 白衣に紅い袴を着け、巫女のような装束を身にまとったその姿は、神秘的な美貌、と言えなくもなかったが、頭の上でピコピコと動くキツネのような耳と、同じく腰のあたりから生えたフサフサのシッポが、この美少女の姿を、そこはかとなくマヌケな感じに見せていた。(しかも、本人、そのことに気づいてない。)


「ふはははっ! どうした? あまりの恐怖に声も出ないか?(←得意満面)」
「う〜む・・・」
 洋平は、どちらかといえば柔軟な思考の持ち主だった。とりあえず、沙羅、と名乗った目の前の少女が、キツネの置物に封印されていた妖怪である、という前提を受け入れ、話を進めることにする。
「ま〜、その。三百年も封印されてたなら、腹が減ってるだろう。その辺で一緒に食事でもどうかな?」
「って、こんな状況なんだから少しは狼狽しろっ!」
「いや、可愛い女の子を見るとつい口説くクセが・・・」
「にゃっ? か、かか、可愛いだなんて、そんな・・・・って、ええいっ、どっ、動揺させようとしてもムダだっ!」
 思いっきり動揺する少女に、洋平はやけにさわやかな笑顔を向ける。
「はっはっは。面白すぎるぞ、キミ」
「うわぁん、黙れ黙れッ! うう〜っ! 世界を征服する前に、まずは貴様を殺してくれるわっ!」
 少女は、けっこう短絡的な性格らしかった。
 懐から長さ三十センチほどの細い竹筒を取り出すと、その先端を洋平に向け、一声叫ぶ。
「出でよ、クダギツネ!」
 ブンッ!
 突然、竹筒から矢のようなモノが撃ち出される。洋平は、咄嗟に体を捻って身をかわした。
 彼の身体をかすめ、背後の壁へ、ドカッ、と突き刺さった物体。それは、ヘビによく似た奇妙な生き物だった。洋平は、壁に頭をめり込ませた謎の生物を見つめ、片眉を上げる。
「・・・・・おいおい、殺す気か?」
「最初からそう言っておろうがっ!」
 この生物は、『クダギツネ』と呼ばれる低級の妖怪である。ヘビとキツネを足したような姿をしており、普段は小さな竹筒の中に棲んでいるが、筒を持った者の意志に従って、自在に大きさや形状を変える性質を持っている。
 使い方によっては、筒先から撃ち出して敵を刺し貫く、といったコトも可能だ。
「ふははははっ! 串刺しにされて死ぬが良い! それっ! それっ!」
「うおっ? ぬわっ! って、シャレにならないコトすんなっ、おいっ!」
 洋平は、次々に繰り出されるクダギツネの突撃を、すんでの所でかわし続ける。クダギツネは、部屋中の床や壁を容赦なく打ち砕きながら、洋平に襲いかかる。
 沙羅は、けっこう器用に逃げ回る洋平にイラつき、怒鳴り声を上げた。
「ええいっ、よけるな! 当たらぬではないかっ!」
「いや、当たったら死んじゃうだろっ?」
 怒鳴り返しながら、洋平は、ふと床に落ちたテレビのリモコンに目を留めた。咄嗟に拾い上げ、電源のスイッチを押す。
 次の瞬間、沙羅の背後で、突然テレビの音が鳴り響いた。
『打った! 大きいっ、入るっ、入った! ホームランっ!』
「な、何っ?」
 沙羅は狼狽して後ろを振り返る。もちろん、三百年ぶりに封印を解かれたばかりの妖狐に、テレビなどという概念はない。ブラウン管に映った野球中継の映像を見て、驚愕の声を上げる。
「なっ? は、箱の中に人が・・・っ?」
「スキあり!」
 洋平は、すかさず少女の額へデコピンを『ぴすっ』と撃ち込んだ。
「はうぅぅうっ?」
 妖狐の少女は、頭を押さえて吹っ飛び、そのままコロコロと後ろ向きに転がると、柱に後頭部を打ち付け、「きゅう」というマヌケな声を上げて気絶した。
「・・・・・・・う〜む」
 さすがの洋平も、あまりの弱さにちょっとあきれ返る。次いで、滅茶苦茶になった六畳一間の部屋を見回し、小さくため息をついた。
 さて、これからどーしたものだろう?
       *
 沙羅が次に目を覚ました時、彼女は、クダギツネに体中を拘束されていることに気づいた。
 そして、クダギツネを操る竹筒は、洋平の手に握られている。
 沙羅は状況に気づくと、一瞬おびえたような表情を見せ、それから慌てて強がりを言った。
「な、何だ。べべべ、別に怖くなどないぞっ! こ、拘束などしたところで無駄だっ! い、今なら許してやる! すす、すぐにこの戒めを解くが良いっ」
「いや、あのな・・・・ヒトを殺そうとしておいて、そーゆー物言いはないんじゃないかな、とか思うワケだが」
 洋平は、脱力したように肩を落とし、ため息を吐いた。
「悪いコトをした時には、謝るのが筋だろう?」
「ふんっ。気に入らぬ者を殺すことの何が悪い! まして、わらわが人間ごときに頭を下げるだと? たわけめっ! 考えて物を言え、この下郎がッ!」
「・・・・ほほう。なるほど」
 洋平は、わずかに目を細め、口元に不穏当な笑みを浮かべた。
「どうやら、性悪ギツネには、お仕置きが必要なようだな・・・・」
 ・・・・ゾクッ
 洋平の声に含まれた冷気に、沙羅は一瞬身を震わせた。縛られた手足をジタバタと動かし、何とか脱出を試みる。
 が、次の瞬間、彼女は、身体の芯を駆け抜ける鮮烈な衝撃に、全身を仰け反らせた。
「んっきゃあぁぁあああっ?」
 甲高い悲鳴が上がる。
 自分の体に何が起こったのか理解できない沙羅は、なおも体中を走り続ける激感に、震える声で自問する。
「ふぁっ・・・ふわぁっ・・・ふわぁあんっ! あ、ああ・・・い、一体、何が・・・?」
「ふっふっふ。だからお仕置きだって」
 洋平は、底意地の悪い笑みを浮かべながら、自分の手に握られた竹筒を示して見せた。
 そう、彼の操るクダギツネが、沙羅の手足を拘束すると同時に、全身の性感帯を責め立て始めたのである。
 毛皮で覆われたクダギツネの細い胴体は、巫女服の中に入り込み、胸の先端をコチョコチョとくすぐり、脇腹をサワサワとこすり回し、股間を執拗にグリグリと責めさいなむ。
 沙羅は、全身を駆けめぐる快感に翻弄され、一つ一つの刺激に面白いほどの反応を示す。
「ああっ。んあぁっ、や、やめろぉっ、そ、そんなトコっ、く、くすぐるなぁっ! ふわぁあっ、だ、ダメぇっ、ダメ、だって・・・きゅうぅんっ、む、胸のぉ・・・先っちょばっかりぃいいいいっ!」
 唯一自由になる首を振り回し、強制的に与えられる快感を必死で拒もうとする沙羅に、無慈悲な拷問は続けられる。
「あっヒィぃいいいいっ? それダメっ! それダメぇええええっ!」
 突然、クダギツネの首が二股に分かれ、それぞれの頭部が、左右の乳首に吸い付いたのだ。凄まじい喜悦の波に、沙羅はもはや嬌声を上げ続けることしかできない。
「あーっ! あーっ! あーっ!」
 望まない、しかし甘美な絶頂が近づく。金髪の美少女は、瞳からは絶望の涙を、口元からは快楽のヨダレを流し、高みへと昇り詰めていく。そして、クダギツネが、秘貝の上の小さな真珠をカリリ、と甘噛みした瞬間。
「ヒっキャあぁあああああああああああっ!」
 ビクビクビクッ
 沙羅は、絶叫と共に、灼熱の絶頂へと駆け昇った。



       *
「うっ・・・ううっ・・・」
 沙羅は、絶頂の余韻にヒクヒクと震える美身を床に横たえ、屈辱に歯がみしていた。
「に・・・人間が・・・・人間ごときが・・・わらわを果てさせ・・・あ、あまつさえ、クダギツネをわらわより上手く操るなど・・・・」
「いや、つーか、弱すぎだろ・・・・キミ。あらゆる意味で」
 洋平の一言に、沙羅は怒りの形相を表して立ち上がった。
「え、ええい、うるさいっ! お主が体の自由を奪った上に、クダギツネで責めるなどという卑怯な真似さえしなければ、わらわが性技で負けることなど絶対にありえなかったわっ!」
「うーむ」
 洋平は、ちょっと考え込んだ。確かに、キツネの妖怪は、一般的には男をトリコにする魔性の力を持ち、最も力の強いものは古代中国の皇帝すら籠絡したと言われる。
 あるいは、このダメっぽいキツネ娘でも、人間では考えられないような凄まじい快楽を与えてくれるのではなかろーか? 洋平は、期待を込めて沙羅に視線を向けた。
「よし、そこまで言うなら、勝負しようじゃないか。先に失神するか、降参した方の負けということで」
「ふっ、たわけが。精を出し尽くして死ぬが良いっ」
 妖狐の美少女、沙羅は、不敵に微笑んだ。
       *
 二人はシックスナインの態勢になり、互いの性器を舌と指で責め合い始めた。
 沙羅が、剛棒をなめながら、洋平を挑発する。
「ふっ・・・んちゅっ・・・どうだ・・・・人間では・・・ちゅっ・・・・有り得ぬ快楽であろう・・・・」
「・・・・・・むぅ」
 洋平は、驚いていた。かなり上手いのだ。正直『やっぱ大したコトなかった』というオチを覚悟していたため、沙羅の意外なテクニックに、軽い衝撃を禁じ得ない。
 沙羅は、肉棒の裏筋や、雁首を丁寧になめ、吸い、袋を細い指で刺激した。洋平は瞬く間に追い込まれ、熱いほとばしりを放つ。
「ぬぅっ」
 ビュクビュクッ
「・・・・ふふっ」
 キツネ耳の少女は小さく微笑み、顔についた白いモノを舌でなめ取った。
「どうだ? 思い知ったか?」
「うぅむ・・・素晴らしかった。じゃ、今度は俺がお礼に、現代人のテクニックを見せてあげよう」
 洋平は、嬉しげにそう言うと、反撃を開始した。沙羅は余裕の表情で受ける。
「ふっ。しょせん人間ごとき・・・・ひゃうぅっ?
 しかし、沙羅の余裕は一瞬で崩れ去った。いきなり、肛門に指を入れられたのだ。妖狐の少女は思わぬ責めに混乱し、情けない悲鳴を上げる。
「ふわっ、ふわわわわわわぁああああっ! ば、バカ、バカぁっ、そこは違っ・・・違うぅぅううっ! ダメぇええええっ! はヒッ・・・あヒィぃいいいいいいっ!」
「いやぁ、ここも結構いいだろ?」
「ふやぁああんっ! た、たわけっ! い、いいワケが・・・いいワケが・・・んっきゅうぅううんっ!」
 沙羅は、経験したことのない快感に翻弄され、泣き叫んだ。頭が混乱し、何も考えられなくなる。
(な、なんでぇっ? なんでこんなに・・・こんな所が・・・・き、気持ちいいのぉおおっ? こ、こんなのぉお・・・ウソッ、ウソぉおおおお! ひゃぅうっ、気持ちいいッ、気持ちいいッ! ダメぇっ、そ、そんなワケ・・・ないのぉおおおおっ!)
 洋平は、沙羅の過激な反応に気を良くし、菊門と同時に会陰部をもくすぐり始める。沙羅は随喜にむせび泣きながら、しかし、気力を振り絞って洋平の剛棒に舌を這わせ始める。
「ま、負けなひ・・・・負けなひんだからぁ・・・・」
 ろれつの回らない舌で、健気にも反撃を試みる妖狐の少女に、しかし無慈悲な鉄槌は振り下ろされる。
 洋平が、今までわざと避けていた箇所、秘貝の中心に、攻撃の手を向けたのである。蜜壷の中に指と舌が入れられた瞬間、沙羅は絶叫し、シッポの毛を逆立たせた。
「キャッヒィイイイイイイイイイッ!!」
 ビクビクビクッ!
 背筋が弓なりに仰け反り、凄まじい衝撃に白目を剥く。だが洋平は容赦せず、Gスポットを巧みに刺激し続ける。
 沙羅は、肛門とGスポット、二重に織り込まれた未体験の性感帯を立て続けに責め立てられ、身も世もなくよがり泣き続ける。
「あヒィィイイイイッ! 何これっ? 何これぇえええっ? こんなの知らないっ! 知らなひよぉおおおおおっ! なんか出ちゃうッ! なんか出ちゃふぅうううううっっ!」
「ほれほれ、しっかりしないと、潮吹いて失神しちまうぞ。反撃をしてみせろ、反撃を」
 洋平の言葉に、沙羅は頭を振って応える。
「ダメぇっ! 無理っ、無理ぃぃいいっ! 気持ちいいのぉ! ぎぼちよすぎて、もう何もできないのぉおおっ」
「さっきは『しょせん人間ごとき』とか言ってたじゃないか」
「あっ・・・・・あぅう・・・・そ、それはぁ・・・」
 洋平の一言に、沙羅は妖狐の誇りを再び思い出した。必死の想いで理性を呼び起こし、男の肉棒へ舌を近づける。しかし。
「んっきゃあぁあああああああっ!」
 敏感な肉芽を舌先でプルプルッと弾かれた途端、かろうじて繋がっていた理性は一瞬で崩壊した。あられもない姿をさらし、情けない哀訴の声が漏れる。
「うぁあああっ! ダメっ、らメぇえええっ! ズルいぃっ! ズルいよぉおおおっ! んあぁぁああっ、ぞっ、ぞんなビンカンなトコばっかりぃいいいっ! これじゃ果てさせらんないっ! んっきゅうぅぅうんっ! 負けぢゃうッ! 負けぢゃうよぉおおおおおおっ!」
「ええい、弱音を吐くなっ! ここからが本番だろう!」
 洋平は、沙羅の蜜壷をなぶる手をそのままに、シックスナインの態勢から後背位にポジションを移行した。
 しとどに濡れそぼった秘唇へ、一気に剛棒を突き入れる。肉壁をゴリゴリッと刺激する壮烈な快感に、少女は断末魔の絶叫を放つ。
「あっぎゃああああああああっっ!」
 白目を剥き、涙とヨダレと鼻水を垂れ流しながら、よがり狂う美貌の少女に、しかし洋平は容赦なく腰を打ち込む。腰の角度をわずかに変え、先刻見つけた最も敏感な部位、Gスポットに、攻撃を集中させ続ける。
「あーっ、あーっ、あーっ!」   
 脳の許容量を超える凶暴な喜悦に、沙羅の精神は崩壊寸前となる。しかし、なお苛烈な責めが妖狐の少女を襲う。洋平の両手が形の良い乳房をつかみ、グニャグニャと揉みしだき始めたのだ。
「うやぁあああっ! らめェッ! おっぱいダメぇええっ! わらわが! このわらわがぁあああっ! にっ、人間にィぃいいい! 人間ごときに・・・はっ、果てさせっ・・・・られるっ、なんてぇえっ! 絶対、らっ、らめなのぉぉおおおおおおっ!」
 妖狐としての誇りを打ち砕かれつつある少女に、再び絶頂の波が打ち寄せてくる。沙羅は、なけなしの理性を振り絞って、無惨な最期から逃避し続ける。
「ふやっ・・・うゃああっ! ダメッ・・・・ラめぇえええっ! 果てちゃ・・・・らめッ、らめらってばぁああああああ・・・・っ」
 しかし少女の身体は少しずつ、しかし確実に、絶頂への階段を昇がって行く。
「あ・・・ああ・・・も・・・・果・・・て・・・・」
 少女の言葉は切れ切れとなり、被虐の快楽に溺れたその瞳から、随喜の涙が、堕ちる。
 そして。
「あっきゃあぁあああああああっっ!! らめぇええええええっ! 沙羅、果てるッ! もおサラ、果てちゃうぅぅうううううううううっ!!」
 ビクビクビクビクビクッ!
 プッシャァアアアッ!
 激しいケイレンと共に、妖狐の美少女は潮を吹き、快感の頂上へ飛翔する。精神が白熱し、肉体が燃焼する。すべてが昇華し、沙羅は至福の恍惚へと、ゆっくり堕ちていった。
 が、しかし。
 間髪入れず、絶頂したばかりの美身へ、さらなる魔手が襲いかかった。洋平の指先が乳首をつまみ、剛棒が再び膣壁をえぐり始める。
「なっ、何でぇえええええっ?」
 沙羅は、狂乱した。再開した容赦ない悦楽に、あられもなく泣き叫ぶ。
「ひっきゃあぁあああっ! やめてっ、やめでぇええええっ! もっ、もお果てたのッ! 果てちゃったのぉおおおおおおおおっ!」
「いや、俺、まだイッてないし」
 洋平の言葉に、沙羅は驚愕の悲鳴を上げる。
「イヤぁあああああっ! 死んじゃうッ! こっ、これ以上されたらぁあ・・・・・・っ! 沙羅ッ、もお死んじゃうよぉおおおおおおおっ!」
「・・・・キミだって、俺のコト、殺そうとしたじゃないか・・・・」
 洋平のあきれたような声を聞き、沙羅は絶望に声を詰まらせた。
 膣奥の中で最も神経の集中した場所を、亀頭でこすり上げられるたびに感じる、自分が壊れていくかのような衝撃。凄まじい快感と恐怖に、少女のプライドは粉々に打ち砕かれた。
「イヤぁっ! ゴメンなさい! ゴメンらさひぃいいいいッ! 謝ります! あやまりまふからぁぁぁあああっ!」
「んー、どうしようかなぁ・・・ホントに反省してる?」
 洋平はGスポットをゴリゴリと責め立てつつ、秘貝の上に乗った敏感な真珠を、揃えた四本の指でプルプルプルッと弾き上げる。
 イッたばかりで過敏になっているところへ、最も感じる箇所を集中攻撃されては堪らない。沙羅は、半狂乱になって泣き叫び、哀願した。
「ふッヒャあァぁあああああああっ! ゆ、許してェッ! 許ひてくらさぁあああいっ! 死んじゃうっ! 気持ちよふぎてひんじゃうからぁあああああああっ!」
「ホントに悪いコトしたと思ってる? ウソじゃない?」
 グチュッ、グチュッ! 蜜壷の中を剛棒が掻き回す音が響く。体中が蕩ろけるかのような愉悦。
「きゅヒイぃいいいいんッ! 思ってまふぅうっ! ゴメンらさいっ、ゴメンらさひぃいいっ! あああっ、飛ぶぅっ! どっか飛んでっちゃうよぉぉああああああっ!」
「よし、じゃ、イクときは、ちゃんと『イク』って言うように」
「はヒッ、言いまひゅ! 言ひまふぅうううっ!」
 グチュッ、グチュッ! 
 洋平は、腰を振り立てつつ、フィニッシュに、菊門へ指を一本、ズプッ、と突き入れた。そのままカギ型に指を曲げ、直腸をグリッとエグる。
「イっきゃぁあああああああああああああっ!! イクッ! イッちゃう! イクイクイクイグイグぅうううううううううッ!」
 妖狐の美少女は、断末魔の絶叫を上げる。
「イッちゃう! 沙羅っ! サラぁあああああっ! またイグッ! またイッちゃうぅうううううううううううううううっっ!!」
 ビクビクビクビクッ! ビクンッ!!
 ブッシュウゥゥウウウッッ!
 沙羅は、先刻に倍するほどの凄まじい潮を吹き、全身を仰け反らせて絶頂に達した。
 圧倒的な白い閃光が脳裏を焦がし、灼熱の快感が全てを消滅させる。
 沙羅は、今度こそ失神し、恍惚の彼方へと堕ちていった。
       *
「・・・・・えーと」
 洋平は、途方に暮れた表情で、沙羅を見つめた。
「なんで、キミ、負けたのに出ていかないんだ・・・?」
「ええい、黙れッ」
 沙羅は、押し入れの中に自分の寝床を造りながら、洋平をキッと睨み付けた。
「妖狐のわらわが、人間ごときに性技で負けたとあっては、妖怪の間で物笑いのタネになるではないかっ! お主に勝つまでは、絶対にここから出て行かぬから、そう思えっ!」
「いや・・・たぶん気づいてないだけで、キミ、すでに物笑いのタネになってると思う」
「う、うるさい、うるさいっ! とにかく、掃除、洗濯、飯炊き、何でもするから、わらわをこの部屋に住まわすが良い!」
「・・・・卑屈なのか尊大なのかわからんなぁ・・・・」
 洋平は、やれやれ、とため息をついた。
       *
 一人暮らしの平凡な大学生、篠田 洋平が、怪しげな露天商から、その小さなキツネの置物を買ったのは単なる気まぐれからだった。しかし、それはある意味、確かに運命の選択だったといえるのかもしれない。
 
「キツネ日和 第一話 とりあえず・完」