「カラクリ城へいらっしゃい」
 
プロローグ
 
 時は江戸時代。
 天下太平、と言われる元禄年間、あるいは少々さかのぼって寛永年間、ひょっとしたら文化年間の頃。とはいえ、あまり正確な時代考証には意味がない。まあ大体、侍がちょんまげを結っていた頃のこと。(←大体すぎ)
 某州十五万石の大名、股下三寸守助成(またしたさんすんのかみすけなり)は、城の大広間で、下座に並ぶ家臣たちを前に、いつもの口癖をつぶやいた。
「退屈じゃのう」
       *
 股下城城主、股下三寸守助成は、典型的な「バカ殿」だ。
 年の頃は三十前後。政治・経済に興味はないが、女好きは人一倍。いつも妙なことを思いついては大騒動を巻き起こす、という困った人物。
 普通、こんな男が領主なら領民も暴動くらい起こしそうなものだが、領地は豊かで税は安価、気候も穏やかで領民は脳天気、とあっては暴動も起きようがない。
 苦労性の側用人、宗吉(むねよし)は、一回くらい暴動が起きれば良いのに、などと思いつつも、生来の生真面目さからそんなことは口に出せず、人知れず溜息をつく毎日を送っていた。
 しかも頭の痛いことに、家臣の大部分は領民と同じ脳天気な性格で、殿のバカ騒ぎに付き合うことを、積極的に楽しんでいる様子なのだった。
 今も、最長老の重臣、筆頭家老の三太夫(さんだゆう)がおもむろに手を挙げ、何か、ろくでもないことを言い出しそうな気配だった。
「殿! こんなことも有ろうかと、この三太夫、殿のために面白い趣向を用意いたしましたぞ」
「ほほお?」
 助成が少し体を前に乗り出した。それを見て三太夫は、パンパン、と奥座敷に向かって手を鳴らす。と、ふすまが開き、総髪を肩まで伸ばした初老の男が現れた。
 男は助成の前に進み出て、深々と頭を垂れた。
「お初にお目にかかり、恐悦至極。拙者、カラクリ珍元斎(ちんげんさい)と申しまする。以後お見知り置きを」
「・・・・・なんか、おいしそうな名前じゃのう」
 助成は少し呆れた後「それで?」と先を促した。三太夫が得意げに男の紹介を始める。
「さればでござる。この者、カラクリ作りの大名人にして、希代の天才細工師。この者が作るカラクリの動き、まさに生き物のごとくして、その不可思議なること妖術のごとし」
「・・・ははあ」
 と助成。あまり感銘を受けた様子ではない。
「で、それがどうした。別にワシは玩具になど興味はないが」
「いやいや、ただの玩具ではございませぬ。この者のカラクリは、女体の勘どころを責め、果てさせるという、いわば、大人の性玩具なのでござる!」
 三太夫はそう言い放つと、珍元斎に合図した。珍元斎は、一旦、奥の間に下がり、奇妙な木馬を持ってきた。
「ご覧あれ!」
 珍元斎がおもむろに木馬の頭に付いたボタンを押すと、木馬の脇腹部分が開き、中から機械仕掛けの腕が無数に出てきた。腕には蛇腹状の間接が付いていて、触手のようにくねくねと自在に動く。さらに胴体の部分が小刻みに振動を始める。
 なるほど、この木馬に女を乗せ、股間を振動で責めつつ、体中を無数の腕でくすぐる仕掛けらしい。
 助成は、興味を引かれた様子ながらも首をひねった。
「うーむ。確かに面白そうじゃが、どうも実用性があるのか良くわからんのう」
 その言葉を聞いて、突然、四十がらみの厳つい中年男、勘定頭の清十郎(せいじゅうろう)が立ち上がった。
「殿! ここは論より証拠、城内の女中で試してみてはいかがかと!」
 清十郎の過激な発言に、宗吉は顔色を変える。
「か、勘定頭殿っ、また無茶なことをっ。そのようなこと、殿や御家老が許すはずが・・・・!」
「「許す!(←即答)」」
「ちょっと待ってぇえええええっ!」
 宗吉の絶叫を後目に、城主と家臣一同は素早く立ち上がり、カラクリ木馬を抱え上げて一斉に部屋から飛び出した。
 それから、しばらくの後。
 女中たちの悲鳴が城のあちこちから上がり始めた。時々、床に物凄い振動が響く。(←何か、エラいコトになってるらしい)
 宗吉はコメカミを揉みほぐしながら、一言、つぶやいた。
「・・・・・・・頭痛が・・・」
 
 
第一章 女忍者たちの受難
 
 薄暗い地下牢に、二人の娘が囚われていた。片方の娘が、深々と溜息をつく。
「あーあ、ドジ踏んじゃったわよね〜」
 年の頃は十八ほど。勝ち気そうな大きめの瞳に、挑戦的な唇。後ろに結わえたポニーテールが、活発な印象を強めている。薄暗い地下牢にあってさえ、少女の輝くような魅力は全く損なわれていなかった。
 一方、隣に座るもう一人の娘も、相当の器量だ。
 年の頃は同じく十八くらい。どこか達観した様に見える神秘的な瞳に、整った鼻梁。真っ直ぐで癖のない髪を首の後ろあたりで束ね、背中に流している。
 このいずれ劣らぬ美少女たち、元々は、とある小藩に仕えていた女忍者、つまり「くノ一」である。
 数日前、彼女たちは、藩の財政事情の悪化から即日解雇を言い渡された。何の前置きもなく、いきなり職を失った少女たちは、手っ取り早く金を稼ぐため、富裕で有名な股下城へ忍び込んだのである。
 まあ、戦国時代が終わり、天下太平となった昨今、失業した忍者が生活のために盗賊となるのは、そう珍しい話ではなかった。(良いか悪いかは別として)
       *
「ねえ静香(しずか)、ちょっと、何とか言いなさいよ」
 ポニーテールの娘が、先ほどから黙って座り続ける少女に声をかけた。黙り込んでいる方の娘は、静香というらしい。
 静香は、冷静な表情を崩さずに答えた。
「何を話せばいいの、茜(あかね)?」
「え? いや、そー言われると困っちゃうけどさぁ・・・」
 茜、と呼ばれたポニーテールの娘は、ばつが悪そうに目をそらした。おそるおそる、といった様子で、静香の顔色をうかがう。
「あのー、静香、ひょっとして、怒ってる?」
「別に怒ってないわ。私が下調べをしてから潜入すべきだと言ったのに、茜が無視して強引に城へ押し入ったことなんて、ちっとも怒ってないもの」
「怒ってるじゃん! ・・・・あああ、苦しい、苦しいってマジで。首を絞めないで〜!」
 無表情のまま首を絞め続ける静香から逃れようと茜が必死になっていると、牢屋の外から人がやって来る気配がした。
 二人は即座に気を引き締める。
「ほほう。そちたちが昨夜、城内に潜入した賊か」
 彼女たちを見下ろし、楽しげに笑った男は、股下三寸守助成、と名乗った。
 突然の城主の来訪に、茜と静香は困惑の表情を浮かべる。
「ま、戸惑うのも無理はないがの。そのほうたちに、放免の機会を与えようというのじゃ。悪い話ではなかろう?」
「・・・・・・?」
 茜と静香は、互いの顔を見合わせた。
       *
 話は今から数ヶ月前にさかのぼる。珍元斎が城にやってきた日である。
 珍元斎が造ったカラクリ木馬の威力は、大したものだった。城内の女中で試したところ、すべての女中が例外なく、潮を噴き上げて絶頂に達し、失神したのである。
 これを見た助成は、さらに大規模な変態カラクリ屋敷を造る計画を立てた。命名「カラクリ城」計画。
 このカラクリ城の設計には、城主を始め、家老、評定衆は言うに及ばず、勘定方、天文方、足軽の意見までが採り入れられ、反映された。そして建造の段階になると、多くの兵たちが皆、無償で参加した。(←この城の人たちって・・・・)
 こうして城内の男たちが、ほぼ全員一丸となって造ったカラクリ城は、しかし日の目を見ることなく封印された。
 完成後、女中たちがストライキを起こし「んなモノに辱めを受けるくらいなら城主を殺して私たちも死にます」という、至極もっともな意見を提出したのである。
 まあ、そんな訳で城内の男たちの羨望を一心に受けつつも放置されていたカラクリ城であったが、ちょうど折りも折り、二人の女盗賊が捕縛されたとの知らせが入った。しかも、かなりの美少女らしい。
「あ〜。盗賊になら、カラクリで色々お仕置きしちゃってもいいのではないか。ほら、他の盗賊への見せしめにもなるし」という、スケベ心がガツンと入ったストレートな意見が評定衆から家老たちに提出され、この提案はものすごく速やかに可決された。
「ま、そんな訳で」
 バカ面の城主は、茜と静香に向かってへらへらと笑いかけた。
「がんばってカラクリ城に挑んでもらいたい。見事、最上階までたどり着けたら、無罪放免。さらに望みの褒美も与えようではないか」
 ・・・・・もちろん、くノ一たちに拒否することなどできるはずもなかった。
       *



       *
「あああ、この城の奴ら、全員殺してやりたい・・・・・」
 茜は、カラクリ城の玄関所で、拳を握りしめ、低くうめいた。そんな彼女に、静香がいつもの冷静な口調で声を掛ける。
「仕方ないわ。本当なら処刑されていても文句は言えないところだもの。命拾いしただけでも良しとしなければね」
「う〜。そりゃ、そーかもしれないけどさっ、何よ、この格好は!」
 茜は自分たちの姿を見下ろして、大声を上げた。
 茜と静香が今着ているのは、助成が用意した忍者装束だ。それは助成たちの趣味を反映し、かなり恥ずかしい出来に仕上がっていた。
 基本になっているのは派手な色遣いの薄い着物で、丈が極端に切りつめられている。鎖かたびらの替わりに使われているのは網タイツのようなメッシュの生地で、およそ身を守る役には立ちそうもない。まあ戦闘装備だけは本物なのが救いだろうか。
 しかし、こんな格好をさせられることからしても、これから足を踏み入れることになるカラクリ屋敷が、どんなシロモノかというコトが大変よくわかる。
「ええい、考えててもしょーがないか・・・・・・行くわよ、静香!」
 茜は、いやな予感を振り払おうと大声で相棒に声を掛け、カラクリ城の最初の部屋に足を踏み入れた。
 おそらく、あのスケベ面をした城主たちが、どこからかその一部始終を見物しているはずだった。
       *
 最初の部屋は、板張りの大広間だった。そこに、三体のカラクリ人形が置かれている。人形の大きさは人の背丈ほどで、円柱から手足が生えたような形をしている。
 部屋に足を踏み入れると、その人形たちが一斉に動きだし、侵入者へ向けて襲いかかってきた。
 静香は、様子を見るため一歩後ろへ下がったが、茜は逆に人形へ向かって駆け出した。
「ふふんっ。上等じゃない。一つ残らず叩き壊してあげるわっ!」
 茜は腰から小太刀を引き抜き、逆手に構える。
 ダンッ、と地を蹴り、体を捻ってコマのように回転。最初の人形と交錯し、一瞬で袈裟懸けに切り下ろした。そのまま勢いを殺さず回転し、胴回し蹴りで二体目の胴を薙ぎ、よろけた所を真一文字に両断した。
 間髪入れず三体目が背後から襲いかかるが、これは横に跳んでかわす。そのまま壁を蹴り、三角飛びで人形の頭上まで跳躍、力任せに小太刀を振り下ろす。最後の人形も、一瞬で床に切り伏せられた。
「ふふんっ、どーよ」
 茜は、得意満面の笑みを静香に向けた。しかし油断無く人形の残骸を観察していた静香は、茜に警告の叫びを上げる。
「気をつけてっ、そのカラクリ、まだ生きてる!」
「え?」
 一瞬、惚けた表情を浮かべた後、慌てて後ろを振り返った茜だったが、しかし遅かった。カラクリ人形の残骸は、わずかに震えた後、ポンッ、という音と共に弾け、無数の小さな人形をバラ撒く。
 バラ撒かれた人形の大きさは人の手の平ほど、形はクモに似ている。その、小さなクモ型人形は、八本の脚を器用に動かし、一斉に茜たちへ襲いかかって来た。刹那。
 トンッ。
 静香は、とっさに茜の肩を踏み台にして、高く跳躍する。そして天板へ短刀を突き立て、そのまま天井に取り付いた。
 幸いなことに、カラクリグモは、壁をよじ登ることができないらしい。結果的に、蜘蛛の大群は茜が一人で引き受けることになった。
「ちょっと待て〜〜〜っ!」
 茜は、無数のクモ型カラクリに襲われながら、抗議の叫びを上げたが、その声は、天井に空しく響き渡った。
       *
「こっ、こらぁっ! 何やってんのよっ! このスケベカラクリっ」
 茜は、クモ型のカラクリを体から払おうと、躍起になっていた。
 小太刀を闇雲に振り回すが、体中を押さえつけられていて上手く動けない上、相手は動きが意外に素早く、たった一体すら破壊できない。そのうち、腕に取り付いたクモに手を払われ、小太刀が床に落ちる。
「ああっ、もおっ、助けてよ静香!」
 天井に避難したままの静香に助けを求めるが、怜悧な美貌の少女は無表情に答える。
「簡単にはいかないわ。だから、気をつけてって言ったのに・・・・」
 静香は、とりあえず状況を観察し、打開策を考えている様子だった。
(つーか、ホントに考えてんだろーな・・・・・・)
 茜は、今ひとつ信用しきれない表情で、天井へ一人で避難している相方をにらんだ。
 と、その時、茜の体に取りついているカラクリグモが、服の中へもぐり込み始めた。
「ええぇえええっ? ち、ちょっと・・・・!」
 茜は思わず驚声を上げる。
 服の中へもぐり込んだカラクリたちが、内側から服を斬り裂き始めたのだ。



「イヤぁあああああっ!」
 まず、最初に切り裂かれたのは帯だった。次いで、上着を破かれる。メッシュ状のかたびらは胸を覆うサラシと共に食い破られ、形の良い胸と、やや小さめの桜色に染まった乳首が露わになる。
 腰回りを隠していた褌状の下着も脱がされ、つつましい印象の秘貝が白日の下にさらされた。下の毛はやや濃いめで、淫靡な雰囲気があり、普段の健康的な印象との落差が奇妙な魅力を放っている。
「あっ・・・・あぁぁあ・・・・・!」
 たちまちの内に、ほとんど全裸と変わらない姿にされてしまった茜は、羞恥に身をよじり、大事な部分を隠そうと必死で身を捩った。
 だが、カラクリたちは巧みに茜の腕を捕らえ、秘所や乳房を隠させない。
 茜は、悔しさに歯がみした。おそらく、この光景は、この部屋のどこかにある覗き穴から、一部始終を城主たちから見られているに違いないのだ。
(ううっ、は、恥ずかしいよぉ・・・・・っ! こ、こんな無様な姿をあんなバカ殿どもに見られるなんてぇ・・・・)
 しかし、彼女はまだ知らなかった。これから、自分がさらにあられもない姿をさらすということを。
「ひうぅぅっ?」
 突然、茜は、奇妙な感触に身震いした。
 クモ型カラクリの前脚から筆の穂先が飛び出し、茜の肢体をくすぐり始めたのである。
「あっひゃああああああっ!!」
 茜は、体中をくすぐられる衝撃に、激しく背を仰け反らせた。くノ一として苦痛に耐える訓練は積んでいても、くすぐりに耐える修行などはしていない。
「ひゃはははははははっ・・・・・・・・ふヒゃぁああぁぁあっ! だ、だめぇ・・・! あははははははははははははは! ばっ、バカぁっ・・・・・・・・・・・ほっホントに・・・・やめ・・・っ! あっはははははははははははははははははは!」
 機械仕掛けのクモたちは、茜の乳首を、太股の内側を、脇の下を、体中の弱点を、筆で器用にくすぐり続ける。
 茜は背を仰け反らせ、涙とヨダレを垂れ流しながら悶絶するより他ない。耳の裏側を、ひざを、足の裏を、隠された性感帯をくすぐられるたびに、理性が爆ぜ、快感が炸裂する。喜悦の衝動に身悶える茜へ、さらなる苛烈な責めが襲いかかる。
「はひぃぃぃぃいいいっ?」
 筆の穂先が、ドリルのように回転を始めたのだ。脇の下が、足の裏が、回転する毛先によって蹂躙される。茜は白目をむき、舌を突き出し、絶叫を喉の奥から絞り出した。
「ひっきゃあぁああああっ! だ、だめぇぇえええええっ! あぁぁああああはははははははははははっ! 足っ・・・・足の裏ぁあああっ! あヒゃははははははははははははは! よわっ・・・弱いからぁあっ・・・・・あはははははっ・・・もっ、もお・・・・・・ダメぇえぇぇぇええええっ! く、くすぐらないでぇえええっ! き、気がぁあああ! 狂っちゃうよぉおおおっ! あぁっはははははははははははははははははっ!」
 ビクビクと体を震わせ、笑い悶える茜に、しかし容赦することなくカラクリたちの筆責めが一時も休まず襲いかかる。
 下腹部に取り付いたカラクリと、左右の乳房に張り付いたカラクリの回転する筆先が、敏感な肉芽と、乳首の先端へ同時に押し当てられた。
 茜は、喉を引き裂くような絶叫と共に伸びやかな肢体を限界まで引き吊らせた。
「あっきゃああぁあぁぁぁあああああああっ!」
 体中の弱いポイントを寄ってたかって筆の穂先にくすぐられ、神経が限界近くまで敏感になっている状態で、もっとも疼いている三つの突起を一度に攻撃されては堪らなかった。自分の意志とは無関係に、神経という神経が快感を伝え、凄まじい衝撃が全身を駆け巡る。
はひゃあぁあああっ! ダメえぇぇえっ、これッこれダメぇええええっ! 乳首もっ・・・おマメもぉぉおおおっ・・・・そんなぁっ、そんなふうに擦っちゃダメなのぉおおおおおおおおっ!」
 茜は泣きじゃくり、首を左右に振り立てた。普段の勝ち気な顔はぬぐい去られ、被虐的な表情が垣間見える。
「はぅっ、はぅっ、はぅうんっ!」
 一方、疲れを知らないカラクリたちは、くノ一の伸びやかな肢体を責め立て続ける。脇の下をくすぐり、背中を筆でなぞり上げ、首筋を撫で下ろす。
「くひゃあぁ・・・・らめっ・・・もおラめぇ・・・っ! すっ、すごすぎるよぉ・・・・っ!」
 両方の乳首と陰核に、毛先のドリルを押し当てられながら、体中に執拗な責めを受けては、鍛え上げられた女忍者とはいえ悶絶を繰り返すばかりで、反撃などできない。
 今、できることと言えば、舌をもつれさせ、快楽におぼれ、絶頂への坂を駆け上り始めることだけだ。
「はううっ・・・・気持ちいい・・・気ぼちいいよぉっ・・・・すごっ・・・もお・・・溶ける・・・溶けちゃうぅうう・・・・」
 そして次の瞬間、今まで軽く触れるだけだった乳首の先端と敏感な肉芽に、回転する毛先が強く押し当てられた。
 刹那。
「あっきゃあぁあああああっ!」
 目の前で閃光が炸裂し、茜は喜悦の頂点に弾き飛ばされた。
「果てるゥぅううううううっ! アカネ、もぉっ、果てちゃうぅぅぅううううううううううううっ!」
 ビクビクビクッ
 くノ一の美少女は、奇怪なカラクリの手で、絶頂に跳ね上げられた。初めて体験する人外の責めに、抗う手段などあるはずもなく、少女は機械仕掛けの魔物のなすがまま、深い闇の中に堕ちて行くより他なかった。
       *
 さて、その頃、天井に(ちゃっかり)避難している静香は、クモ型カラクリの一連の行動に、わずかながら法則性があることに気づいた。
 一見すると独立して動いているように見えるカラクリたちだが、今までしていた行動から別の行動へ移る前に、一瞬、特定のクモへ体を向けるのである。
(ひょっとしたら・・・・この中に、全体の指揮を執っている司令用のクモがいる・・・・?)
 静香は、そのクモを見極めようと、目を凝らし始めた。しかし、クモの数は多く、皆同じ形をしている。司令用のクモを見つけるには、かなりの時間がかかりそうだった。
       *
 一方、茜を責めるクモたちの攻撃は、まだ始まったばかりだった。
 一度絶頂を極めた余韻で、ビクッ、ビクッ、と断続的に体を震わせる茜に、新たな恥辱を加えようと、カラクリがまたしても新機能を発動させる。
 ブウウン、という不気味な音が、カラクリグモの内部から発せられると、その途端、茜の全身に、鮮烈な快美感が走り抜けた。思わず、甲高い悲鳴が上がる。
「ひゃうぅううんっ?」
 その音は、クモの胴体部分から発せられる振動音だった。茜の体中に張り付いたカラクリのクモが、微細な振動を神経へ送り込み始めたのである。
 それは、まさしく未知の快楽だった。体中の性感神経が揺さぶられ、刺激されているかのような衝撃。茜は混乱し、童女のように泣きわめいた。
「はひゃっ? ひぅうっ? ・・・・・・何これっ? 何これぇ! こっ、こんなの知らないっ・・・・知らないよぉおおおっ!」
 乳首に振動が走るたびに、乳房が震え、快感が増幅される。蜜壷からは愛液が止めどなくあふれ出し、太股を濡らしている。
「ダメっ、ダメダメダメダメだめっ、らメぇぇええええええっ! もぉ、ち、乳首にそれ、押し当てないれぇっ! 変になっちゃう! ヘンになっひゃうからぁああああああああっ!
 舌足らずな声で哀願するも、元々、心のないカラクリたちは一切の容赦をすることなく陵辱を続行する。
 振動を太股にあてがい、徐々に足の付け根へ、秘貝へとずらしていく。茜は、すさまじい快感が訪れる恐怖と、わずかな期待に、嫌々をするように首を横へ振った。
「ら・・・・・・らめぇ・・・・許ひて・・・・・・・・・・お、お願ひぃい・・・・」
 だがしかし。無慈悲な鉄槌は振り下ろされた。
 振動するカラクリグモは、少女のもっとも敏感な突起、紅い肉真珠へ、強く振動する胴体を押し当てた。途端、くノ一の喉から、絞り出すような絶叫が上がる。
「あっぎゃあぁあああああああああっ!」
 陰核から、電撃のような快感が全身へ走り抜けた。肉芽に伝わる振動が、脳髄をしびれさせ、灼きつかせる。信じがたいほどの激感は、しかしまだ終わりではなかった。
 一体のクモが、振動する体を秘貝の中に潜り込ませてきたのだ。
「あびゃひぃいいいいいっ!」
 茜は悶絶し、身をのたうたせた。クモは、絶妙の角度で膣の入り口付近を擦り上げる。しかもその胴体は振動し、性感神経を永続的に刺激し続けるのだ。
「すごいぃっ! 凄ひいぃぃいいいいいいっ! き、気持ちよふぎてぇっ、狂っちゃう! 狂っひゃうよぉおぉおおおっ! な、何でえぇぇえええ? 何でこんなに上手いのぉおおぉおおおおおっ?」
 あられもない悲鳴を上げながら、茜は全身をケイレンさせ続けた。
 体中から力が抜け、口からはヨダレ、秘唇からは愛液が流れ落ちる。異形の機械が与える悦楽が、頭の中まで染み込んでくる。
「はひっ、くはぁっ、もおダメっ、狂っちゃう! これ以上されたら、もぉっ、死ぬっ、ひぬっ、ひんじゃ・・・・・・あぁあああああああああっ!
 ビクビクビクッ
 茜の背が仰け反る。長い美脚がピンと突っ張り、爪先がグッとたわむ。
 絶頂に達し、しかし間髪入れずにまた絶頂の波に攫われる。
「やらぁあああーーっ! 果てたのにぃいっ! またっ、また果てるぅううううっ!」
 ビクビビクッ、ビクンッ
「あああっ! 果てるっ、また果てちゃうっ! らメぇっ、果てるのが止まらないいぃいいっ!」
 茜は連続絶頂に突き上げられた。振動するクモ型カラクリが、膣の上側にある快楽神経の束を、Gスポットを刺激するたびに、恐ろしいほどの絶頂感が襲ってくる。
 そして何度目かの絶頂の後。
 全てが白く染まり。
 魂が砕け。
 そして爆発した。
「ああぁあああああああっきゃああああああああああ!!」
 ビクンッ! ビクビクビクビクビクッ
 全身を仰け反らせ、白目をむき、よだれを垂れ流しながら、くノ一の美少女は盛大に潮を噴き上げ、失神した。
 
 と、その瞬間。
 
「・・・・・見つけた!」
 静香が一声叫び、天井から飛び降りて来た。そして茜の秘貝に潜り込んでいたクモ型カラクリを掴んで引きずり出し、短刀をドスッ、と突き立てた。
 と、その途端、すべてのクモ型カラクリが、まるで糸が切れたかのように活動を停止した。
「・・・・・ふぅ」
 静香は、満足げな吐息をついた。
 やはり、茜の膣内に入っていたクモが、全体の中枢だったらしい。茜が秘貝から潮を噴き上げた瞬間、すべてのクモが、一瞬、動きを乱したのを静香の目は見逃さなかった。
「・・・・こんな調子の罠が、あといくつあるのかしら・・・・」
 静香は、失神した茜と、次の階へ上がる階段へ交互に目をやった後、小さく溜息をついた。
 
 カラクリ城は全四階。彼女たちが自由を手にするのは、まだまだ先の話なのだった。